Windows PCを利用している際に、動作が急に重くなったりファンの音が大きくなったりすることはありませんか。
タスクマネージャーを開くと、「Antimalware Service Executable」というプロセスがCPUを大量に消費しているケースが多く見られます。
このプロセスはWindows標準のセキュリティ機能である「Windows Defender(Microsoft Defender)」の実体です。
セキュリティソフトがシステムを保護するためにリソースを使うのは正常ですが、あまりに高い負荷が続く場合は適切な対処が必要です。
本記事では、Windows DefenderのCPU使用率が異常に高いときの原因を特定し、パフォーマンスを改善するための具体的な解決策を詳しく解説します。
Windows DefenderのCPU使用率が高くなる主な原因
Windows Defenderの負荷が高まる背景には、いくつかの明確な理由が存在します。
まずは、なぜ「Antimalware Service Executable」がリソースを占有してしまうのか、その仕組みを理解しましょう。
リアルタイム保護による継続的なスキャン
Windows Defenderは、ファイルを開いたりプログラムを実行したりするたびに、その安全性を確認する「リアルタイム保護」を行っています。
大量のファイルをコピーしたり、サイズの大きいアプリケーションをインストールしたりすると、スキャン対象が増えてCPU使用率が上昇します。
特に、圧縮ファイルの展開や暗号化されたデータの読み取りは、プロセッサに高い負荷をかける傾向があります。
フルスキャンのバックグラウンド実行
Windowsは、システム全体の安全を確認するために定期的な「フルスキャン」を自動で実行するように設定されています。
フルスキャンはすべてのファイルをチェックするため、完了までに時間がかかり、その間はCPU使用率が高止まりしやすくなります。
PCをアイドル状態にしておけば負荷は下がりますが、作業中に重なった場合は顕著な速度低下を感じる原因となります。
他のセキュリティソフトとの競合
サードパーティ製のウイルス対策ソフトを導入している場合、通常Windows Defenderは自動的に無効化されます。
しかし、何らかの理由で両方のソフトが同時に動いていると、お互いの動作をスキャンし合う「競合」が発生します。
この競合状態は、CPUリソースを無限に消費し続けるループを引き起こす可能性があるため、非常に危険です。
定義ファイルの更新プロセス
Windows Defenderは、最新の脅威に対応するために頻繁に定義ファイルを更新しています。
更新プログラムのダウンロードやインストール中に、一時的にプロセスの負荷が高まることは珍しくありません。
ネットワーク環境が不安定で更新が停滞していると、リトライを繰り返すことで負荷が続く場合があります。
異常なCPU使用率を抑えるための基本的な対処法
まずは、複雑な設定を変更する前に試すべき基本的な解決策から紹介します。
これだけで症状が改善することも多いため、順番に確認していきましょう。
PCの再起動を実行する
システムの一時的な不具合によってCPU使用率が上がっている場合、再起動が最も効果的です。
Windows 10や11では「シャットダウン」ではなく、必ず「再起動」を選択するようにしてください。
再起動を行うことで、停滞していたプロセスがリセットされ、正常な状態に戻ることが期待できます。
Windows Updateを最新の状態にする
Windows自体のバグが原因で、Windows Defenderが暴走している可能性も考えられます。
設定アプリの「Windows Update」から「更新プログラムのチェック」を行い、最新のパッチを適用してください。
過去には、特定のアップデートによってDefenderの負荷が上昇し、その後の修正パッチで解決された事例も多くあります。
タスクマネージャーでの負荷確認
現在のCPU使用率が本当にWindows Defenderによるものか、正確に把握しましょう。
Ctrl + Shift + Esc キーを同時に押してタスクマネージャーを起動します。
「プロセス」タブで「名前」列をクリックし、「Antimalware Service Executable」を探してください。
この項目のCPU使用率が常に30%を超えているようなら、次のステップの設定変更に進むべきです。
Windows Defenderの設定を変更する詳細な手順
基本的な対策で改善しない場合は、Windows Defenderの動作設定をカスタマイズして負荷を制限します。
CPU使用率の上限を設定する方法
Windows Defenderには、スキャン中に使用するCPUリソースの上限を制限する設定が存在します。
この設定はGUI(設定画面)からは行えないため、PowerShellを使用して設定値を書き換えます。
まずは、管理者権限でPowerShellを起動してください。
以下のコマンドを入力することで、スキャン時の最大CPU使用率を「30%」に制限できます。
# Windows DefenderのCPU使用率上限を30%に設定する
Set-MpPreference -ScanAvgCPULoadFactor 30
実行後、正常に設定されたかを確認するには、以下のコマンドを入力します。
# 現在の設定値を確認する
Get-MpPreference | select ScanAvgCPULoadFactor
ScanAvgCPULoadFactor
--------------------
30
このように表示されれば、設定は完了です。
デフォルトでは50%程度に設定されていることが多いですが、これを下げることでシステム全体のレスポンスが向上します。
自分自身をスキャン対象から除外する
意外な解決策として、Windows Defender自身の実行ファイルを「除外設定」に追加する方法があります。
Windows Defenderが自分自身のスキャンプロセスを監視することで、再帰的な負荷が発生するのを防ぐためです。
「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「Windows セキュリティ」>「ウイルスと脅威の防止」を開きます。
「設定の管理」をクリックし、下部にある「除外の追加または削除」を選択してください。
「除外の追加」から「プロセス」を選択し、MsMpEng.exe と入力して追加します。
さらに、「ファイル」を選択し、以下のパスにあるフォルダも除外対象に加えるとより効果的です。
C:\Program Files\Windows Defender
この設定を行うことで、Defenderが自分自身の動きを監視する無駄な処理を削減できます。
スキャンのスケジュールを変更・制限する
Windows Defenderのフルスキャンが作業中に始まらないよう、タスクスケジューラで制御します。
スタートメニューで「タスク スケジューラ」を検索して起動してください。
左側のツリーから「タスク スケジューラ ライブラリ」>「Microsoft」>「Windows」>「Windows Defender」と進みます。
「Windows Defender Scheduled Scan」をダブルクリックしてプロパティを開きます。
「条件」タブを確認し、「コンピュータを AC 電源で使用している場合のみタスクを開始する」にチェックが入っているか確認しましょう。
また、「アイドル」タブの設定で、PCを使用していないときのみ実行されるように構成することも可能です。
システムの修復とクリーンアップによる解決
OSのシステムファイルが破損していると、Windows Defenderが正常に動作できず、結果としてCPU負荷が高まることがあります。
システムファイルチェッカー(SFC)の実行
Windowsのコアファイルに異常がないかをスキャンし、修復を試みるコマンドです。
管理者権限のコマンドプロンプトを起動し、以下のコマンドを実行してください。
sfc /scannow
スキャンには数分から数十分かかりますが、破損したファイルが見つかれば自動的に置き換えられます。
DISMコマンドによるイメージの修復
SFCで修復できない場合は、より強力なDISM(Deployment Image Servicing and Management)コマンドを使用します。
インターネット経由でWindowsのクリーンなイメージを取得し、システムを復元します。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
このプロセスを完了させた後、再度Windows Defenderの挙動を確認してみてください。
スキャン設定の比較表
Windows Defenderにはいくつかのスキャンモードがあります。
それぞれの特徴と負荷の大きさを表にまとめました。
| スキャンタイプ | 対象範囲 | CPU負荷 | 推奨される実行タイミング |
|---|---|---|---|
| クイックスキャン | システム内の重要なフォルダのみ | 中 | 日常的なチェック |
| フルスキャン | ストレージ全体の全ファイル | 高 | 月に一度、または感染の疑いがあるとき |
| カスタムスキャン | 指定したフォルダのみ | 可変 | 特定の外部メモリなどを調べるとき |
| オフラインスキャン | OS起動前の重要領域 | 最大(専用モード) | 高度なマルウェアを駆除したいとき |
負荷が気になる場合は、フルスキャンの頻度を減らし、クイックスキャンを主体に運用するのが賢明です。
サードパーティ製セキュリティソフトの検討
Windows Defenderの負荷がどうしても下がらない場合、他のセキュリティソフトに乗り換えるのも一つの選択肢です。
近年の有料セキュリティソフトは、Windows DefenderよりもCPU負荷を抑える設計になっているものが多いです。
別のウイルス対策ソフトをインストールすると、Windows Defenderは自動的に停止します。
これにより「Antimalware Service Executable」による負荷問題は物理的に解消されます。
ただし、ソフト同士の相性もあるため、導入前には体験版などで動作の軽さを確認することをおすすめします。
まとめ
Windows DefenderのCPU使用率が異常に高い問題は、設定の最適化によって解決できることがほとんどです。
まずは「再起動」と「Windows Update」という基本を押さえましょう。
それでも改善しない場合は、PowerShellでのCPU制限や除外設定の追加を試してみてください。
これらを実施することで、セキュリティを維持しながら快適なPC環境を取り戻すことができます。
システムの健康状態を保つために、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
