警察庁は2026年4月27日、広報資料「サイバー警察局便りR8Vol.5」を公開し、DDoS攻撃の違法性について強い警鐘を鳴らしました。
近年、インターネット上での嫌がらせや抗議活動の一環としてDDoS攻撃が行われるケースが散見されますが、これらは決して「いたずら」では済まされない重大な犯罪です。
今回の発表では、攻撃を直接行うだけでなく、代行サービスを利用して攻撃を依頼する行為も処罰の対象となることが改めて明示されました。
本記事では、警察庁が公開した最新情報に基づき、DDoS攻撃に関わる法的リスクや国際的な捜査体制について詳しく解説します。
DDoS攻撃の仕組みと社会に与える深刻な影響
DDoS(Distributed Denial of Service)攻撃とは、悪意のある第三者が乗っ取った多数のコンピューターを利用し、標的のサーバーやネットワークに対して一斉に大量のアクセスを送り付ける行為を指します。
この攻撃を受けると、対象のシステムは処理能力を超えた負荷がかかり、Webサイトの閲覧ができなくなったり、オンラインサービスが完全に停止したりする事態に陥ります。
現代社会において、ネットワークインフラの停止は企業の経済的損失を招くだけでなく、公共サービスの停止によって人々の生活を脅かす可能性も秘めています。
警察庁は、このような行為がインターネットの健全な利用を阻害し、円滑な業務遂行を妨げる極めて悪質なものであると位置づけています。
法的責任と厳重な罰則:5年以下の拘禁刑も
DDoS攻撃は、日本の法律において明確に犯罪として定義されており、厳しい罰則が設けられています。
具体的には、刑法に定められている「電子計算機損壊等業務妨害罪」などに該当し、法的な追及を受けることになります。
有罪と判断された場合、「5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」に処される可能性があります。
以下の表は、DDoS攻撃に関連する主な法的責任の内容をまとめたものです。
| 項目 | 詳細な内容 |
|---|---|
| 主な該当罪名 | 電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法第234条の2) |
| 罰則(刑罰) | 5年以下の拘禁刑 |
| 罰則(罰金) | 100万円以下の罰金 |
| その他の罪状 | 威力業務妨害罪などが適用される場合もあります |
このように、遊び半分や好奇心で行った行為であっても、その代償は非常に重いものであることを認識しなければなりません。
「DDoS攻撃代行サービス」の利用も処罰の対象
現在、インターネット上の一部では「Booter」や「Stresser」と呼ばれる、金銭を支払うことで他者へのDDoS攻撃を代行するサービスが流通しています。
警察庁は、自ら攻撃プログラムを記述したり操作したりしなくても、これらの代行サービスを使って攻撃を指示する行為も犯罪であると強く警告しています。
「お金を払って依頼しただけだから自分は犯人ではない」という理屈は通用せず、攻撃の主体者として捜査の対象となります。
こうしたサービスの利用履歴や決済情報は、捜査機関によって特定されるケースが多く、検挙事例も増えています。
国際捜査オペレーション「Op.PowerOFF」による対策
DDoS攻撃は国境を越えて行われることが多いため、警察庁は国際的な連携を強化しています。
その一環として、欧州刑事警察機構(ユーロポール)を中心とした国際的な捜査オペレーションである「Op.PowerOFF(オペレーション・パワーオフ)」に参加しています。
このプロジェクトは、世界各国の法執行機関が協力して、DDoS攻撃代行サービスのインフラを解体し、運営者や利用者を特定して検挙することを目的としています。
警察庁は、海外の捜査機関と情報を共有することで、日本国内からの攻撃者だけでなく、国外の拠点を悪用する者に対しても厳正な対処を行っています。
また、警察庁の公式ウェブサイトでは、「DDoS攻撃は犯罪です!」という特設ページを設け、実際の検挙事例などを公開して注意を呼びかけています。
まとめ
今回の警察庁の警告は、巧妙化・一般化するDDoS攻撃に対して、法執行機関が断固たる姿勢で臨んでいることを示すものです。
DDoS攻撃は、対象となった組織に甚大な損害を与えるだけでなく、実行者や依頼者に対しても「5年以下の拘禁刑」という重い法的責任を負わせることになります。
代行サービスの利用を含め、いかなる理由があろうともDDoS攻撃に関与することは絶対に避けてください。
サイバー空間の安全を守るためには、一人ひとりが高い倫理観を持ち、ルールを遵守することが不可欠です。
