Okta Japan株式会社は、最新の業務アプリ利用動向調査レポート「Businesses at Work」を公開しました。
このレポートは、世界中の企業が利用する「Okta Integration Network(OIN)」の匿名化されたデータを分析し、ビジネスツールの変遷を明らかにするものです。
今回の調査では、業務効率化ツールの安定的な普及とともに、セキュリティ対策の重要性が改めて浮き彫りになりました。
特にクラウド環境の複雑化に伴い、企業が導入するアプリケーションの顔ぶれにも大きな変化が見られます。
本記事では、急成長を遂げたアプリのランキングや、日本国内独自のトレンド、そしてサイバーセキュリティの新たな課題について詳しく紹介します。
急成長する業務アプリランキングと注目のNinjaOne
今回の調査において、最も高い成長率を記録したのはIT管理・セキュリティプラットフォームの「NinjaOne」でした。
NinjaOneは前年比240%増という驚異的な成長率を叩き出し、グローバル全体で1位に輝いています。
第2位には、エンドポイントセキュリティの「CrowdStrike Falcon」が前年比66%増でランクインしました。
急成長しているアプリの上位10位のうち、実に半数をセキュリティソリューションが占めている点は見逃せません。
これは、サイバー攻撃の高度化に対応するため、多くの企業が防御力の強化を最優先事項としている現状を反映しています。
国別に見た成長アプリの傾向
急成長するアプリケーションの傾向は、国や地域によって異なる特徴が見られました。
米国ではグローバル全体と同じく「NinjaOne」がトップとなり、IT資産管理への関心の高さが伺えます。
カナダではパスワード管理ツールの「1Password」が前年比25%増で首位となりました。
一方、日本国内において最も急成長したのは、ドキュメント管理・コラボレーションツールの「Notion」で、前年比43%増という高い伸びを記録しています。
日本企業においても、情報の集約化と共有の効率化が急速に進んでいることが分かります。
グローバルおよび日本国内での利用数ランキング
顧客数ベースで最も利用されている上位のアプリケーションについては、昨年に引き続き主要なプラットフォームが独占しました。
ビジネスの基盤となるツールにおいては、上位の顔ぶれに大きな変動は見られません。
| 順位 | グローバルランキング | 日本国内ランキング |
|---|---|---|
| 1位 | Microsoft 365 | Microsoft 365 |
| 2位 | Google Workspace | Google Workspace |
| 3位 | Amazon Web Services (AWS) | Amazon Web Services (AWS) |
| 4位 | Salesforce | Slack |
| 5位 | Zoom | Box |
日本国内のランキングに注目すると、グローバルで4位のSalesforceに代わり、SlackやBoxが上位に食い込んでいる点が特徴的です。
特に「Notion」が日本国内で初めて9位にランクインしたことは、国内市場における独自の変化と言えるでしょう。
また、開発プラットフォームである「GitHub」や、デザインツールの「Figma」が順位を上げている点も注目すべきポイントです。
組織全体のデジタル化が進む中で、特定の職種向けツールが企業標準として採用されるケースが増えています。
非人間アイデンティティ(NHI)管理の重要性
今回のレポートでは、自動化プロセスやAIエージェントが使用する「非人間アイデンティティ(NHI)」についても言及されました。
これらは人間を介さずにシステム同士が連携する際に利用されるサービスアカウントなどを指します。
現代の企業環境では、人間よりも多くのサービスアカウントが存在することも珍しくありません。
しかし、多くの組織において、これらの一元管理はまだ初期段階にあります。
OINのデータによれば、現在ほとんどの組織で一元管理されているサービスアカウント数は「1~5個」にとどまっています。
業界ごとに進むガバナンスの差異
一方で、大量のデータを扱う特定の業界では、非人間アイデンティティの管理が先行して進んでいます。
メディア・通信業界では1社あたり平均78個、テクノロジー業界では平均28個のサービスアカウントが一元管理下にあります。
ガバナンスの範囲外にあるアイデンティティは、攻撃者にとって格好の標的となり得ます。
これらに対するセキュリティ・ガバナンスの強化は、今後のIT部門における重要な課題となるでしょう。
進化する攻撃手法とパスワードレス認証の普及
攻撃者がAIを悪用することで、フィッシング攻撃やクレデンシャル(認証情報)攻撃は自動化され、その規模は拡大の一途をたどっています。
従来のパスワードに依存した認証方式だけでは、高度な攻撃を防ぐことが困難になっています。
このような状況を受け、企業はより強力な認証方式へと移行を加速させています。
フィッシング耐性のある高保証な多要素認証(MFA)を利用している企業の割合は、2年前の41%から58%へと大幅に増加しました。
Okta FastPassによるシームレスなセキュリティ
パスワードを使用しない「パスワードレス認証」の普及も、目覚ましい勢いで進んでいます。
Oktaが提供するパスワードレス認証ソリューションOkta FastPassの総認証件数は、前年比81%増を記録しました。
また、1アカウントあたりの平均認証件数も43%増加しており、日常的な業務シーンに定着していることが分かります。
高保証な認証を実現しつつ、ユーザーの利便性を損なわないシームレスな体験が、エンタープライズ環境で高く評価されています。
パスワードレスへの移行は単なるトレンドではなく、必須の防御策となりつつあります。
まとめ
Oktaの「Businesses at Work」レポートから、業務アプリの利用動向と最新のセキュリティ課題が浮き彫りになりました。
「NinjaOne」を筆頭とするセキュリティツールの急成長は、企業が防御体制の構築を急いでいることの証左です。
また、日本国内では「Notion」などのコラボレーションツールの普及が進み、独自の市場ニーズが反映されています。
一方で、非人間アイデンティティ(NHI)の管理不足や、AIを悪用した攻撃の増加という新たなリスクも顕在化しています。
これからの企業には、フィッシング耐性のあるMFAやパスワードレス認証の導入といった、より強固なアイデンティティ戦略が求められます。
技術の進化に合わせた適切なツール選定と、ガバナンスの強化が、ビジネスの安全性と生産性を両立させる鍵となるでしょう。
