Cloudbase株式会社とさくらインターネット株式会社は、2024年4月27日にクラウドセキュリティ領域における業務提携に関する基本合意書を締結しました。

この提携は、両社が提供するサービスの強みを活かし、日本国内における安全なクラウド利用環境の構築を加速させることを目的としています。

近年、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に伴いクラウド活用が一般化する一方で、セキュリティ設定の不備やデータ主権の確保といった新たな課題が浮き彫りになっています。

本記事では、この注目の業務提携がもたらす価値や、提携に至った背景、そして日本企業の「デジタル主権」に与える影響について解説します。

業務提携の背景と目的

さくらインターネットが提供するパブリッククラウド「さくらのクラウド」と、Cloudbaseが提供するクラウドセキュリティプラットフォーム「Cloudbase」が連携を開始します。

今回の合意は、両社の顧客基盤を拡大するだけでなく、クラウドセキュリティ領域における競争力を強化することを大きな目的としています。

特に、日本国内に基盤を持つ「国産クラウド」と、国内の法規制や商習慣に最適化された「国産セキュリティプラットフォーム」の統合は、非常に画期的な試みです。

両社は、この連携を通じて日本企業のデジタル主権確立と安全なクラウド利用環境の構築を目指しています。

外資系クラウドサービスの利用が拡大する中で、自国のデータを自国のテクノロジーで守るという視点は、今後のビジネス展開において欠かせない要素となるでしょう。

デジタル主権の重要性

デジタル主権とは、自国のデータやITインフラを自らコントロールし、他国の法規制や情勢に左右されない権利を指します。

経済安全保障の観点からも、重要なデータをどこに保管し、どのように保護するかという問いに対する明確な答えが求められています。

さくらインターネットのような国産プロバイダーとCloudbaseが手を組むことは、まさにこのデータ主権を確保するための具体的なソリューションとなります。

業務提携における3つの主要な柱

今回の基本合意書に基づき、両社は主に3つの軸で協議と検討を進めていくことを発表しています。

1. 技術連携の推進

Cloudbaseが「さくらのクラウド」に正式に対応するための技術的な連携が開始されます。

これにより、さくらのクラウドを利用するユーザーは、Cloudbaseの高度なリスク検知機能をシームレスに活用できるようになります。

具体的には、クラウド環境の構成ミス(Misconfiguration)を自動で検知し、脆弱性を可視化する仕組みが構築される予定です。

2. プロダクト連携および機能開発

Cloudbaseを活用した「さくらのクラウド」独自のサポート機能に関する共同開発も検討されています。

単なるツールの提供に留まらず、インフラ側とセキュリティツール側が密に連携することで、より使いやすく堅牢なサービスの提供を目指します。

利用者は複雑なセキュリティ設定を意識することなく、プラットフォーム側で担保された安全な環境を享受できるようになることが期待されています。

3. 国産クラウドセキュリティエコシステムの共創

両社は、国産のインフラとセキュリティを組み合わせた新しいエコシステムの創出を重視しています。

特にガバナンス強化を重視する大手企業や官公庁、金融機関などに対して、安心・安全なクラウド利用環境をワンストップで提供します。

このエコシステムが普及することで、日本国内のクラウド活用レベルが底上げされることが期待されます。

連携による主なメリットと期待される効果

今回の提携によって得られるメリットを、ユーザー企業の視点から以下の表にまとめました。

項目期待されるメリット
セキュリティ向上設定ミスや脆弱性を自動検知し、サイバー攻撃のリスクを低減します。
コンプライアンス対応国内の基準に基づいたガバナンス強化が容易になり、監査対応がスムーズになります。
運用効率化インフラとセキュリティ管理を一元化することで、管理者の負担を軽減します。
デジタル主権の確保国内法が適用される環境下でデータを保護し、地政学的リスクを回避します。

Cloudbaseの代表取締役CEOである岩佐晃也氏は、さくらインターネットの強固な基盤と自社の技術を掛け合わせることで、企業のクラウド活用を後押ししたいと語っています。

これは、セキュリティが「攻めのIT」を支える重要なインフラであることを再認識させるものです。

まとめ

Cloudbaseとさくらインターネットの業務提携は、日本のクラウド市場にとって大きな一歩となります。

外資系サービスが市場の多くを占める中で、国産ベンダー同士が手を取り合うことは、ユーザーに「安心」という明確な選択肢を提供することに繋がります。

今回の技術連携や共同開発が順調に進めば、日本企業のクラウド移行はさらに加速し、より強固なデジタル基盤が形成されるでしょう。

データ主権やガバナンスを重視する企業にとって、この新しい国産クラウドセキュリティエコシステムは、将来を見据えた最適な解決策の一つとなるはずです。

今後、両社から発表される具体的なサービス連携のアップデートに、引き続き注目が集まります。