Macを安全に運用し、重要なデータを守るためには、定期的なバックアップの作成が不可欠です。
多くのユーザーはTime Machineを利用していますが、標準ツールである「ディスクユーティリティ」を活用することで、より詳細なディスクの状態をそのまま保存することが可能になります。
ディスクユーティリティを使用したバックアップは、ドライブ全体のイメージを作成するため、特定の時点のシステム環境を丸ごと保存したい場合に非常に有効です。
本記事では、Macのディスクユーティリティを用いたバックアップの作成方法から、万が一の際の復旧手順まで、詳しく解説していきます。
ディスクユーティリティによるバックアップの概要
ディスクユーティリティとは、Macに標準で搭載されているディスク管理用のアシスタントツールです。
このツールを使用すると、ストレージデバイスの消去、修復、パーティション分割のほかに、「ディスクイメージ(.dmgファイル)」の作成を行うことができます。
ディスクイメージは、ドライブの内容を一つのファイルにまとめたものであり、これを外部ストレージに保存しておくことがバックアップとなります。
Time Machineとの最大の違いは、特定の瞬間のスナップショットを「一つのファイル」として固定して保存できる点にあります。
システム全体をクローンするように保存したい場合や、OSのアップデート前に現状をバックアップしておきたい場合に最適です。
ディスク全体をイメージ化することで、OS、アプリケーション、設定、個人ファイルを一括で保護できます。
バックアップ作成前の準備
ディスクユーティリティでバックアップを作成する前に、保存先となる外部ストレージを準備する必要があります。
保存先の容量は、バックアップ対象となるデータ量よりも十分に大きいものを選んでください。
また、保存先のドライブがMacで読み書き可能なフォーマットになっているかを確認しましょう。
以下の表は、現在のmacOSで推奨される主要なファイルシステムの比較です。
| フォーマット名 | 特徴 | 推奨用途 |
|---|---|---|
| APFS | SSDに最適化された最新の高速フォーマット | macOS High Sierra以降の起動ディスクやバックアップ先 |
| Mac OS拡張(HFS+) | 以前のmacOSとの互換性が高い | 古いMacとのデータ共有やHDDドライブ |
| ExFAT | WindowsとMacの両方で読み書き可能 | OSを跨いだ単純なファイル共有 |
バックアップを保存する外部ストレージがAPFSまたはMac OS拡張(ジャーナリング)でない場合は、ディスクユーティリティを使用して事前に「消去(フォーマット)」を行っておきましょう。
消去を行うと外部ストレージ内のデータはすべて失われるため、注意が必要です。
ディスクユーティリティを使ったバックアップ作成の手順
それでは、具体的にディスクイメージを作成する手順を解説します。
ディスクイメージの作成方法
まず、Finderの「アプリケーション」フォルダから「ユーティリティ」を開き、ディスクユーティリティを起動します。
アプリケーションを起動したら、上部のメニューバーにある「ファイル」をクリックし、「新規イメージ」から「”(ディスク名)”からのイメージ」を選択します。
この際、バックアップしたいドライブ自体を選択した状態でメニューを操作してください。
保存先を指定するウィンドウが表示されますので、準備した外部ストレージを選択します。
ファイル名の末尾に日付などを入れておくと、後から管理がしやすくなります。
イメージ形式の選択肢では、通常「圧縮」を選択します。
「圧縮」を選択することで、データの整合性を保ちつつファイルサイズを小さく抑えることができます。
設定が完了したら「保存」ボタンをクリックすると、バックアップ作成が開始されます。
バックアップの暗号化設定
セキュリティを強化したい場合は、イメージ作成時に暗号化を設定することが可能です。
設定項目の「暗号化」ドロップダウンメニューから、128ビットまたは256ビットAES暗号化を選択してください。
パスワードを設定すると、そのパスワードを知っている人以外はバックアップの中身を見ることができなくなります。
暗号化パスワードを忘れてしまうと、二度とデータを復元できなくなるため、厳重に管理してください。
バックアップからデータを復旧する方法
作成したバックアップ(ディスクイメージ)からデータを復旧する方法は、目的によって2通りあります。
特定のファイルのみを取り出す場合
外部ストレージに保存した.dmgファイルをダブルクリックしてください。
すると、そのファイルが仮想ディスクとしてMacにマウントされます。
通常のフォルダと同じように内容を閲覧できるため、必要なファイルやフォルダをMac本体へコピーしてください。
この方法は、誤って消してしまった特定のファイルのみを取り戻したい場合に非常に手軽で便利です。
ドライブ全体を復元する場合(復旧機能の使用)
OSを含めたドライブ全体をバックアップ時の状態に戻すには、ディスクユーティリティの「復元」機能を使用します。
ただし、起動中のシステムディスクを上書きすることはできないため、基本的には「macOS復旧モード」から操作を行います。
Intelプロセッサ搭載のMacであれば「Command + R」キーを押しながら起動し、Appleシリコン搭載のMacであれば電源ボタンを長押しして「オプション」を選択してください。
復旧メニューからディスクユーティリティを選択し、復元先のドライブを選択した状態で「復元」ボタンをクリックします。
「復元元」として、外部ストレージに保存してあるバックアップイメージを選択します。
この操作を行うと、復元先のドライブにある現在のデータはすべて消去されます。
復元が完了すると、システム全体がバックアップを作成した時点の状態へと完全に書き換わります。
ディスクユーティリティとTime Machineの比較
バックアップ方法として最も一般的なTime Machineと、ディスクユーティリティの違いを理解しておくことは重要です。
Time Machineは自動的に増分バックアップを作成するため、日常的なデータの保護に適しています。
一方、ディスクユーティリティによるバックアップは、手動で行う必要がありますが、単一のファイルとして持ち運びが容易である点がメリットです。
例えば、古いMacから新しいMacへ環境を移行する場合や、システムのクリーンインストールを行う前の保険として活用するのが効果的です。
以下のリストに、ディスクユーティリティを使用するメリットをまとめました。
- バックアップが1つのファイルに集約されるため、クラウドストレージなどへの保存も可能。
- OSや特定のボリュームをそのままの構成でクローンできる。
- 高度な暗号化オプションを選択でき、機密情報の保護に強い。
- Time Machineの設定が不要で、標準ツールのみで完結する。
トラブルシューティング:バックアップができない時の対処法
バックアップ作成中にエラーが発生する場合、いくつかの原因が考えられます。
まず、対象のドライブが使用中(他のアプリが読み書き中)であると、イメージ作成に失敗することがあります。
可能な限り他のアプリケーションを終了させてから実行してください。
また、ディスクにエラーがある場合は、事前にディスクユーティリティの「First Aid」機能を実行しましょう。
# First Aidを実行する際のイメージ(内部的な動作例)
diskutil verifyDisk /dev/disk2
diskutil repairDisk /dev/disk2
実行結果としてエラーが修復されたことを確認してから、再度バックアップを試みてください。
Finished disk repair on disk2.
The volume /dev/disk2 appears to be OK.
外部ストレージの空き容量が不足している場合もエラーとなりますので、データ量とストレージ容量を再確認しましょう。
セキュリティ上の注意点
ディスクイメージによるバックアップは非常に強力ですが、管理を怠ると情報漏えいのリスクになります。
バックアップファイル自体を誰でも開ける状態にしていると、外部ストレージが紛失・盗難に遭った際に全てのデータが流出してしまいます。
機密情報を扱う場合は、必ずディスクイメージの作成時に暗号化オプションを使用するようにしてください。
また、バックアップデータは一箇所だけに保存するのではなく、物理的に離れた場所にある別のストレージや、クラウド環境にもコピーしておく「3-2-1バックアップルール」を推奨します。
重要なシステム環境であればあるほど、ディスクユーティリティによる確実なイメージ保存が威力を発揮します。
まとめ
Macのディスクユーティリティを使用したバックアップは、システム全体を完璧に保存したい場合に非常に有用な手段です。
Time Machineのような自動バックアップとは異なり、手動でディスクの状態を固定できるため、システム変更前の備えやアーカイブ作成に最適です。
本記事で紹介した手順に従い、外部ストレージの準備からディスクイメージの作成、そして復旧方法までを把握しておくことで、予期せぬトラブルにも冷静に対応できるはずです。
定期的なメンテナンスと、適切な暗号化設定を行い、大切なデータを安全に守りましょう。
万が一の事態に備え、今日からディスクイメージによる確実なバックアップ習慣を始めてみてください。
